『ひゃくえむ。』:過剰な演技は一切なし。100m走に囚われた男たちのストイックな群像劇

子供にお勧めされて観た。

 

◇◇

 

タイトル  『ひゃくえむ。』

 

原作

作者    魚豊

出版社   講談社

巻数    全5巻 / 全2巻(新装版)

 

映画

原作    魚豊

監督    岩井澤健治

声     松坂桃李、染谷将太

音楽    堤博明

制作    ロックンロール・マウンテン

ジャンル  アニメ、陸上競技

 

すごい。さすがネットフリックスで配信されるだけのことはある。

まず、絵については、実際のランナーや役者さんの動きを実写で撮影し、その映像のフレーム(1コマ1コマ)をアニメーターが手作業でトレース(輪郭をなぞって描き写す)して作られているらしい。

 

 

オープニングの音楽はテンポが速くてドライにスタイリッシュな感じ。

100mを走り切る物語なのに不思議と熱を感じない、それでいて強い疾走感と走りだけに特化した「音」にも感じる。始まってから終わるまでがまるで100m走のような曲。作中の音楽も少なめ、というより殆ど無い。

 

 

それは物語も同じだった。

主人公トガシとライバルの小宮、彼らを描くために人物を掘り下げたりしない。あくまで100m走という競技を行う選手としての話しかしてない。

そのくせ、これだけでここまで話を掘り下げられるの?というのが驚きだった。

 

それから、表情のあからさまな演技や大げさな表現は一切無い!

でも、それが、いい!!

 

キャラクター(出演者)の感情は、本来、知るんじゃなくて、

その状況を観て、私たちが感じるもの。

ちょっとしたタイムラグがあろうがなかろうが。

 

本来の心理描写ってこういうこと。この作品はそこをストレートに感じさせてくれるんだよね。

 

…なぜ悔しそうに見えないのか?

…変わった、って言われた…それはいつから?どう変わった?きっかけは?

…前に、別の誰かが同じ状況になってなかった?

 

ふんわり考えていると、トガシの置かれた状況が、小宮の気持ちが、『変わった』と言った青年の心、その言葉を向けられた本人の葛藤が、自分の中に勝手に湧き上がってきた。

 

試合の時くらいしか会わない選手達はうっすら顔見知りで、お互いの成長や挫折を観察し、ある選手からは「劣化」に見え…そんなものを感じながら競技に向かう、それだけを描いたストイックな映画、と言えるんじゃないかな。

 

 

 

 

 

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