『サスペリアPART2』(原題:Profondo Rosso(深紅) / 1975年):人間の根源的な怖さは、色あせないよね

 

昔、深夜放送か何かで観たシーンが忘れられずに困っている人(私)……AIに聞いたら教えてくれた。それは「サスペリアpart2」じゃないか、と。

 

「不気味な肖像画だらけの曲がりくねった廊下」や「肖像画にカモフラージュしていた女性」、「子供時代の凄惨な体験」、「目つきの悪い“”キューピー人形“”」、「変な子守唄」

他に、「冒頭と最後、口から水を吐き出す口角の上がった女」。

 

そして多くの人にはここが一番トラウマなのかもしれない。

扉から飛び出して襲ってくる人形!

 

ときたら、その映画はこれだ!、って。↓

 

サスペリア PART2 完全版(字幕版)

 

 

ややこしいんだけど、私がずっと勘違いしてた理由があって、

この邦題は日本では1977年に公開された際に、同じダリオ・アルジェント監督のヒット作『サスペリア』の続編という扱いで公開された。でも物語上の直接的な繋がりは無いらしい。

まったく別の映画(しかも一作目サスペリアより過去の制作)で、連続殺人事件を追うミステリー。音楽はゴブリン、赤い色彩、ショッキングな映像がとても印象いもので、実際に私もそれが脳裏に焼き付いた。

 

まず、1975年に『Profondo Rosso』(日本1978年公開の”サスペリアpart2”)が作られ、その後、

 

〇『サスペリア』(原題:Suspiria)1977年

〇『インフェルノ』(原題:Inferno)1980年

〇『サスペリア・テルザ 最後の魔女』 2007年

 (伊: La Terza madre、英: The Mother of Tears)

 

この三つが、『魔女三部作』と言われてるんだって。

 

『Profondo Rosso』が『サスペリア』より後に輸入され、配給会社が『サスペリア』のヒットを受けてその続編として公開したほうが収益が上がると思われたんだって。これについては監督本人も驚いたらしいよ。

 

それを知らなかったから、日本版サスペリアシリーズにチャレンジしては、一作目を観て、記憶の映画じゃない、と何度断念したことか。つい忘れて、何年かおきに定期的に観たくなっていた。

 

 

タイトル:『サスペリアPART2』

     (原題:Profondo Rosso

監督:  ダリオ・アルジェント

主演:  デヴィッド・ヘミングス

     ダリア・ニコロディ

     マーシャ・メリル

公開年: 1975年3月7日

国:   イタリア

上映時間:126分

ジャンル:サスペンス・ミステリー・ホラー

 

 

 

 

 

あらすじ
(ネタバレ込みです。お気を付けください…)

欧州超心霊学会で、テレパシー能力を持つヘルガが公演していた。観客の一人の持ち物と名前を当て、その後突如悲鳴を上げる。彼女は聴衆の中に「過去に殺人を犯し、今もまた殺意を抱いている人物」がいることを感じ取った。

中央辺りの座席から誰かが立ち上がり、トイレに立ち、手袋をつける所作が映る。

 

公演後ヘルガは、「本当はもっと詳細に分かっていた。まとめて後で渡すわ」とジョルダーノに言い、家に帰る。

その日の夜、ヘルガは何者かによって自宅アパートで惨殺されてしまう。同じアパートに住んでいたアメリカ人ピアニストのマークは、ちょうど下にいて、偶然窓越しに犯行現場を目撃。逃走する犯人の姿を追ったマークは、事件の真相を解明するために、女性記者ジャンナと共に独自に調査を開始する。

 

調べを進める中で、マークは事件現場に隠された「ある違和感」や、子供の歌のレコード、古い屋敷に隠された絵画といった謎に直面し、次々と殺人事件に巻き込まれていく。記憶の不確かさや視覚的なトリックを巧みに利用した、サスペンス・ミステリー。

 

 

 

 

物語は語られ尽くして今更感が漂うので、個人的で素直な感想。

 

最初に殺されるヘルガ(マーシャ・メリル…記事上の写真の女性)が、可愛いし怖い。色白でお肌がきれい。「色の白いは七難隠す」とはまさに…一(イチ)難も無いと思うけど。いいな~。

髪型も丸くて今見ても可愛いね。白っぽい瞳も美しいけど、整い過ぎていて怖く、映画の雰囲気が出てる。

主人公のマーク(デヴィッド・ヘミングス)も若くて好青年。出演者皆、今見ても全然違和感ないスタイルだし、恰好なのだ。ジャンヌ(ダリア・ニコロディ)も美しいし、髪型ファサファサで綺麗。かわいい。

 

怖さの構造

これが、何度見ても色あせないと思うところ。最近の視覚効果じゃないし、クリーチャーでもない。過剰なメイクでもないし、ただひたすらに、怖いシチュエーションだってことがすごい。

 

最初に書いた、協力して捜査にあたっていたジョルダーノが家で人形に襲われるシーンも狂気に満ちていた。

 

けれど、私自身が一番怖いシーンはマークの自宅に誰かが侵入したところ。

ちょうどピアノを弾きながら作曲中で、譜面と鍵盤を交互に触っていた。そこに誰かが入ってきた気配を感じた。天井から埃が落ちてくるし、かすかな子供の曲と足音。それに気づきつつ、恐怖しながらピアノを弾き続け、『気付いた、と相手に気付かれないように』手近の銅像を掴み、反撃に備える。

とっさに扉を閉める!

 

 

比較するわけではないけど、その怖さ、ごめん、もう一つの別物語で同じようなシーンがあった。ちょっと気付いたのでそれ言うと…

 

浦沢直樹の「MONSTER」の中で、アニメ第30話『ある決意』の中。

精神科医ライヒワインのもとに、”大柄でとぼけた顔の殺し屋(ロベルト)”が、直前に診察していたさっきの女性の夫、ということで相談に来た。だがライヒワインは彼の素性を知った。

相談に乗るふりをして会話を続け、逃げるべく、ふと飲み物をすすめ、雑談しながらゆっくりキッチンに向かう。だけどその後を立ち上がってゆっくりついてくるロベルト…!

ライヒワインは一気にキッチン奥の扉に逃げ込み、ロベルトはそこへ実弾の嵐を見舞う!

 

…ちょっと例えてしまったけど、そんな、すり減るようなジリジリ感がまさに同じような危機を感じる状況だと思う。

 

 

あと、最初に殺されたヘルガが本当のテレパシスト(読心?)であることが非現実的なことを除けば、廊下にあった鏡を通して絵画と重なって見えた犯人の顔だとか、これも心理的死角を突いたトリックだし、それに気づいたマークの戦慄も大いに観客に伝わる。

 

 

 

 

 

あと、紛らわしい以下のポイント。

冒頭のアイラインの化粧のアップと、ジャンヌがモデルのように背が高く、腕相撲も強い女性であり、マークが巻き込まれる現場に都合よく毎回現れる事、気があるようなそぶりで付きまとう事から、色々考察してしまった。

 

結果は……
映画を知らない人や、忘れている人はそれは見てからのお楽しみで。

 

総合して、犯人の動機や人間関係が分かると、結局かなりシンプルな推理物ではあるな、と思った。なのにここまでドキドキさせられるなんて。

別作品の事も書いてしまったけど、初見だろうと熟知していようと、何度見ても怖い構造。

 

……やっぱりこの映画は面白い。

 

 

 

 

 

 

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