ネタバレしているのでご注意ください。
話は観る前から分かってた。
アマゾンの冒頭の紹介で大体想像はついたけれど、RUNというから、「…今だ!走るんだ…!」と、最後は何とか走り出すのを想像していたら、少し違った。
映画タイトル: 『RUN/ラン』(Run)
監督: アニーシュ・チャガンティ
主演: サラ・ポールソン、キーラ・アレン(英語版)、
パット・ヒーリー
公開年: 2020年11月20日
国: アメリカ
ジャンル: スリラー
この映画を観て思い浮かんだのは、「代理ミュンヒハウゼン症候群」や「医療乱用虐待(MCA)」という言葉だった。これだと献身的な母を演じるためのものな気がするが。
映画はちょっと違和感があって、子供への所有欲のような…ずっとそばに置いておきたい、世話していたい思いがあるんじゃないか、と。
あらすじ。
クロエは、母ダイアンに支えられて車いす生活を送っている。未熟児で生まれたため、糖尿病や喘息、不整脈、鉄過剰症など多くの病気を抱えている。食事管理から内服薬まですべて母の管理に頼っていた。
しかし設備があればほとんど自立していて、自室は自由にレイアウト、二階から一階への移動は昇降機で可能。勢いよく外へスロープで出ることもできる。
部屋は自作の電気製品や本でいっぱいだ。
頭はいいし、しっかりしてる。
なのに一人で動ける世界はほぼ家しかない。
母親の監視はまるで、三歳児に対する監視のようで、スマホは持たされないし、母のパソコンは自由に使えない。
「ネットで調べられたら…」とこぼすが、母親は励ましにも聞こえる言い方でやんわりと遠ざける。
ある日、チョコレートが欲しくてダイアンの買い物袋を覗くと、ダイアン用の処方薬、トリゴキシンを発見。
母が部屋に入ってきて慌てて見ていないふりをするが、そのうち新しい薬だと言ってクロエに渡す。
不審に思い再び確認すると、クロエの記載だったが、シールの下のラベルは母の物だった。
トリゴキシンとは何か?危機を感じたクロエは、その成分と本当に自分用なのかを調べるが、ネットはつながらず、母親には察知される。
映画鑑賞をきっかけに、トイレに行くと言って席を立ち、必死で街の薬局までたどり着き、薬の正体を知った。
それは何の薬だったか…
トリゴキシン=心臓の薬
副作用に麻痺がある
人用はオレンジ色
クロエが飲んでいたのは緑色
…そこへ追い付いた母に注射をされ、気を失い、部屋に閉じ込められる。
それでもクロエは何とか逃げ出した。車いすで走り続けていてもいつかは捕まってしまいそうだが、顔見知りの配達員がトラックで通りかかった。
ダイアンが車で追いかけてきたが、配達員は事情を理解してくれ、
「もう大丈夫だ」と言う。
そのまま保護されるかと思いきや………
荷台のドア開けっぱなしにしてるから、あっさりと母親に襲われ、配達員は殺されてしまう。
その地下でクロエは衝撃的な自分の出生を知る。
…
映画の見どころは、母と子の心理戦。
たぶん、薬の発覚以前から、日常的に表情を読み合って探りを入れていたのかもしれない。互いに気を遣い過ぎている。
会話にワンテンポの遅れがあるし、直感でしゃべってない。特にクロエ。
ダイアンは逆に返事が妙に早く、即答で、自分の仕業を娘に気づかれないように常に娘を観察し、画策していたかも。
クロエは、こんなに薬も飲んでいるのに、なぜ良くならないんだろうな~、といつも思っていたのかもしれない。たびたびトイレで嘔吐もしている。
だからダイアンの処方薬を見た瞬間、はっとした何かがあったのかもしれない。
普段通り振る舞いながら、母が離れているわずかな間に何とかして薬を調べる。顔色一つ変えずに飲んだふりをして保管し、それをこっそり持ち出して脱出、薬屋に確認する。
その緊迫感がとても恐ろしい……。
母の所在を確認しつつ…動くシーンが多くて緊張する。
徐々に狂気の顔を見せてくる母が怖いし、脚が不自由なままのクロエの抵抗は、観ている私も結構辛かった。
何度か映像を一時停止して、ため息ばかりついた。
…あー、辛い。
…ほらもうクロエ、おかしいと思ってることは当たってるから、しれっと自然に会話して、疑われないように隙を狙ってまず逃げるんだ……と何度思ったことか。
……個人的な感情なんだけど、
自分だったらどうするかな~…。
薬の確認なんかまず後回し、気づかれた、と母に疑いをもたれないうちに一旦避難するのが先決じゃないかな?逃げてから詳しいことは調べればいいかな……
母親に追いかけられる夢なんか、子供時代、何度も見た。
怖いよ~、本当に(笑)
話は戻って……
ただ、最後!
最後だけはちょっと受け入れにくいかな~。
クロエは聡明な子のはず。それはちょっと違うよね?
それとも…母の背中には暴力を受けたような傷があった。
虐待か、暴力を体験をしたということ。
クロエは単に仕返しをしただけなのか?
深読みすると、
クロエはおそらく、小さい頃から家の中だけで育ってきた。大学の受験勉強ですら母親に日々課題を出されていた。母は大学で仕事もしていたようだった。
そんな狭い世界で育ったクロエは、自分を支配し、狂気の犯罪に巻き込んだ母を捨て置かなかった。
私だったら切り捨ててもう二度と会わない。憎しみに捕らわれて復讐すること自体が自分を苦痛と成長できない世界に閉じ込めてしまうと思うからだ。
さっさと忘れるのが一番だと思う。
クロエはそうはしなかった。憎しみよりも先に、母との関係そのものを断ち切れなかったのだろうか。
