10数年前に観た。
生存に関する感動と、人間関係での感動は全く違うのかもしれない。
観終わった後、胸の中は真っ暗だった。自分の火を燃やし尽くして終わる物語。こういうのに共鳴してしまうと、ボディーブローのような余韻が抜けなくて、しばらく現実に戻れなかった。とにかく、心に衝撃が走るばかりの映画だった。
映画タイトル:『THE GREY 凍える太陽』(The Grey)
監督:ジョー・カーナハン
出演:リーアム・ニーソン、フランク・グリロ、ダーモット・マローニー、ダラス・ロバーツ
公開年: 2011年12月11日
国:アメリカ合衆国、イギリス
ジャンル:サバイバル・スリラー映画
狼を狩る“用心棒”が直面した、最悪の墜落事故
オットウェイは、アラスカの石油採掘場で働く男たちの“用心棒”。仕事は、作業場に現れるオオカミを狩る事。射撃のプロとしての腕は確かだった。
そんな彼は、休暇で帰郷するために粗野でデリカシーの無い採掘員たちと共に飛行機に乗り込んでいた。とてつもない嵐に見舞われ、飛行機は雪原へと墜落してしまう。命が残ったのはわずかな仲間だけ。よりによって墜落した場所は、オオカミの生息地だった。
そこから始まる、極寒のサバイバル映画。
墜落した飛行機の残骸にとどまるよりも、歩いてここを離れた方がいい。
ここが安全だとしても、そもそも助けは来ない。そう判断したオットウェイは、人里を目指す。無口な男を初めは信じていなかった仲間だが、自然の驚異に一人、また一人と死んでいく中、次第にオットウェイについていくようになる。
映像では、過去が少しずつ明らかになる。別れた妻の微笑みがあたたかな映像と共によみがえる…。映画がすすむごとに、妻とは別れたのではなく、死別していたことが明らかになる。
そして幼い頃の父の姿と壁に掛かっていた詩も思い出す――
「もう一度戦って 最強の敵を倒せたら その日に死んでも悔いはない…」
妻と父の温かく鮮やかな記憶は、荒れたグレーの雪景色とはあまりにも対照的に描かれる。
…生き残りが三人になった。そしてその一人、ディアスがいよいよ生を諦める。
残ったのは、オットウェイとヘンリック。
「あの夜、ライフルを担いでどこに行ってた?さっきのディアスのあの表情を一度だけ見たことがある。あの夜そんな顔をしていた」
オットウェイは飛行機に乗る前、自死しようとしていたことに、ヘンリックは気付いていた。しかし、飛行機事故で極寒の雪原に放り出されたとき、彼は否応なしに「生きるための戦い」へと引きずり込まれる。
そのヘンリックも、川に飲まれてしまう。
そしてオットウェイがたどり着いたのは、オオカミの巣のど真ん中。神も誰も助けてくれない。頼れるのは自分だけ。妻の「恐れないで」という声と、父の詩が鮮やかによみがえる。
ナイフを握り、割った酒瓶の破片を手に巻きつける。装備も安全策も捨て、自分のすべてをそこにかけて、群れのボスに向かって…。
悔いはない…
……彼が生きたのか、死んだのかまでは描かれない。
魂の共鳴:矢吹ジョーのように、真っ白に燃え尽きるまで
もう一度戦って、最強の敵を倒せたら、その日に死んでも悔いはない。 死を望んでいた男が、皮肉にも最期の瞬間、誰よりも激しく「生」の炎を燃やし尽くす。その圧倒的な熱量は、矢吹ジョーがリングで真っ白になったあの瞬間と同じ、静かな狂気に満ちていた。
プロだって自然の前では無力。
『北の国から』が描く、自然の前での人間の小ささを突きつけられるような。
それから、「地雷を踏んだらサヨウナラ(1999)」の一之瀬泰造のような生き方を見せつけられ、ついに、燃え尽きるまで戦う――『あしたのジョー』に通じる狂気と美学
自分の火を燃やし尽くして終わる物語。
生への執着と、人間としての生き方の二つを考えさせられた。
余談:
映画には関係ないけど、寒がりだったため、当時、防寒に優れた冬用コートを探していた。日本ではまだあまりメジャーではなかったと思う。
天邪鬼な性格なのでバリバリに日本展開されている有名ブランド以外で探してて、「CANADA GOOSE」は前から気になっていた。
リーアム・ニーソンがそれを着ていたのがとても印象的だった。
CANADA GOOSEは日本でも売り始めていたが、「これは暑すぎる」、というレビューもちらほら。
そのうち、日本の都市部での着やすさを優先し、ダウンの量を調整した『日本規格』のモデルが主流になった。それは商業的な正解かもしれないけれど、『本来あるべき極限の姿』に憧れていた私には、少し寂しく映った。
それは他の防寒着ともう大差無くなってしまうからだ。
本当はそのままの性能でその必要制があるとき着たいな。でもそのチャンスは無いかもな…
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